企業の廃棄物管理、まず何から始める?担当者が最初に確認したい7項目

企業の廃棄物管理、まず何から始める?担当者が最初に確認したい7項目

企業の廃棄物管理を任されたものの、「何から確認すればよいのか分からない」という担当者は少なくありません。

最初に行いたいのは、処理業者を変更したり、細かな分別ルールをつくったりすることではなく、現在の廃棄物管理の状況を把握することです。

具体的には、次の7項目を確認します。

  1. どこから、どのような廃棄物が出ているか
  2. 廃棄物が一般廃棄物と産業廃棄物に区分されているか
  3. 誰が、どのように分別・保管しているか
  4. どの処理業者へ委託しているか
  5. 契約書・許可証・マニフェストが管理されているか
  6. 処理費用の内訳を把握できているか
  7. 社内の責任者と運用ルールが明確になっているか

この7項目を整理すると、法令対応、現場運用、処理費用のどこに問題があるのかが見えやすくなります。

企業の廃棄物管理は「現状把握」から始める

廃棄物管理というと、「法律に詳しくなければならない」「処理業者を厳しく管理しなければならない」と考えがちです。しかし、担当者が最初からすべてを理解する必要はありません。

まず必要なのは、自社で発生している廃棄物と現在の処理方法を一覧にすることです。

この段階で、書類が見つからない、店舗によって分別方法が異なる、請求内容が分からないといった問題が出てきても構いません。問題が見つかること自体が、管理改善の第一歩です。

1.どこから、どのような廃棄物が出ているか

最初に、廃棄物が発生する場所と種類を確認します。

発生場所を洗い出す

事務所だけでなく、店舗、倉庫、工場、厨房、バックヤードなども対象です。同じ事業所の中でも、場所によって発生する廃棄物は異なります。

たとえば、事務所では紙類や事務用品、店舗では梱包材や商品廃棄、厨房では生ごみや廃食用油が発生します。

「会社全体で何が出ているか」だけではなく、「どの拠点の、どの場所から出ているか」まで整理することが重要です。

廃棄物の量と発生頻度も確認する

廃棄物の種類とあわせて、おおよその量や回収頻度も確認します。

正確な重量が分からない場合は、「45リットル袋で週に約10袋」「段ボールを週2回回収」などでも構いません。繁忙期や季節によって量が変わる場合は、その情報も記録しておきます。

2.一般廃棄物と産業廃棄物に区分されているか

事業活動から発生する廃棄物は、種類や発生過程などによって、事業系一般廃棄物と産業廃棄物に分かれます。

区分を誤ると、本来とは異なる処理ルートで委託してしまう可能性があります。

見た目だけでは判断できないことがある

「燃えるものは一般廃棄物」「大きなものは産業廃棄物」といった単純な分け方はできません。

たとえば、廃プラスチック類は産業廃棄物に該当します。一方、紙くずや木くずなどは、業種や発生過程によって区分が変わる場合があります。また、事業系一般廃棄物の処理方法や分別ルールは、所在地の自治体によって異なります。

判断が難しい廃棄物は、名称、材質、発生工程、使用目的などを整理したうえで、自治体や専門家へ確認することが大切です。

3.誰が、どのように分別・保管しているか

処理方法が正しくても、現場で分別や保管が守られていなければ、適正な廃棄物管理はできません。

ゴミ置き場の状態を実際に確認する

書類だけで判断せず、ゴミ置き場や一時保管場所を確認しましょう。

確認したいのは、次のような点です。

  • 廃棄物の種類ごとに分けられているか
  • 容器や表示が分かりやすいか
  • 液漏れ、飛散、悪臭などが発生していないか
  • 回収対象外のものが混入していないか
  • 回収日まで安全に保管できているか
  • 関係者以外が持ち込める状態になっていないか

担当者が想定している分別方法と、現場で実際に行われている分別が異なるケースは珍しくありません。

迷わず分別できる表示にする

分別ルールは、詳しい説明文を掲示するだけでは定着しにくいものです。

「廃プラスチック類」とだけ書くのではなく、現場で実際に発生する品目名や写真を使うなど、捨てる人が迷わない表示にする必要があります。

4.どの処理業者へ委託しているか

次に、廃棄物の収集運搬と処分を、どの事業者へ委託しているかを整理します。

廃棄物ごとの処理ルートを確認する

確認したいのは業者名だけではありません。

  • どの廃棄物を委託しているか
  • 誰が収集運搬しているか
  • どこへ搬入されているか
  • どのような方法で処分・リサイクルされているか
  • どの部署や担当者が依頼しているか

以上を廃棄物の種類ごとに整理します。

特に多店舗企業では、店舗ごとに異なる業者へ依頼しており、本部で全体を把握できていないことがあります。まずは拠点別・品目別の委託先一覧を作成すると、管理状況が見えやすくなります。

5.契約書・許可証・マニフェストが管理されているか

産業廃棄物の処理を委託する場合は、委託先へ任せるだけではなく、排出事業者として適切に管理する必要があります。

環境省も、処理業者に委託した場合であっても、排出事業者の処理責任は変わらないと示しています。

契約書と許可内容を照合する

産業廃棄物の委託契約書、処理業者の許可証の写し、マニフェストの管理状況を確認します。

許可証が保管されていても、それだけで十分とは限りません。

  • 許可の有効期限が切れていないか
  • 委託する廃棄物の種類が許可品目に含まれているか
  • 収集運搬する区域の許可があるか
  • 契約書の内容と実際の処理が一致しているか
  • マニフェストで処理終了を確認できているか

といった確認が必要です。

契約書や許可証が複数の部署・店舗に分散している場合は、保管場所と更新確認の担当者を決めましょう。

6.処理費用の内訳を把握できているか

廃棄物処理費用は、請求総額だけを見ても適正かどうか判断できません。

費用を項目ごとに分けて確認する

請求書や見積書から、次の項目を確認します。

  • 基本料金
  • 収集運搬費
  • 処分費
  • 容器や設備の使用料
  • 車両費、作業費
  • 臨時回収費
  • その他の追加費用

「月額一式」となっている場合は、何に対する料金なのかを整理する必要があります。

また、単価が安くても、回収回数が過剰であれば総額は高くなります。反対に、回収回数を減らしすぎると、保管場所の不足や衛生面の問題につながります。

費用の見直しでは、単価だけでなく、排出量、回収頻度、分別状態、処理方法をあわせて確認することが重要です。

7.社内の責任者と運用ルールが明確になっているか

廃棄物管理が属人化していると、担当者の異動や退職によって管理が途切れてしまいます。

本部と現場の役割を決める

本部、各拠点、現場担当者の役割を明確にしましょう。

たとえば、本部は契約書・許可証・費用の管理、各拠点は分別・保管・回収時の確認を担当する、といった分担が考えられます。

あわせて、次のような場合の連絡先や対応手順も決めておきます。

  • 回収されなかった
  • 廃棄物の量が急に増えた
  • 新しい種類の廃棄物が発生した
  • 処理業者や料金を変更したい
  • 契約書や許可証の更新時期が近づいた
  • ゴミ置き場で混入や漏れが発生した

すべてを詳細なマニュアルにする必要はありません。まずは「誰が判断し、誰に連絡するか」を明確にするだけでも、対応は大きく変わります。

7項目を一覧化して優先順位を決める

7項目を確認したあとは、見つかった問題を次の3つに分けます。

法令・契約に関する問題

契約書がない、許可期限が切れている、処理ルートが確認できないなど、優先して対応すべき問題です。

現場運用に関する問題

分別間違い、表示不足、保管場所の乱れ、店舗ごとのルールの違いなどが該当します。

費用に関する問題

料金の内訳が不明、回収頻度が適切でない、拠点ごとの単価に大きな差があるなどの問題です。

この3つを混在させず、法令・契約、現場運用、費用の順に整理すると、何から改善すべきか判断しやすくなります。

まとめ|最初から完璧な管理体制をつくる必要はない

企業の廃棄物管理で最初に行うことは、新しいルールづくりや処理業者の変更ではなく、現状の把握です。

発生する廃棄物、区分、保管状況、委託先、契約書類、費用、社内体制の7項目を確認すれば、自社の課題を整理できます。

廃棄物管理は、一度にすべてを変えようとすると現場の負担が大きくなります。まずは問題点を一覧にし、法令・契約上のリスクが高いものから順番に改善していくことが重要です。

エコビジョンでは、企業や多店舗事業者の廃棄物管理について、現状調査、契約・許可内容の確認、処理費用の分析、処理業者の選定、分別ルールの整備まで支援しています。

「自社の管理状況を一度整理したい」「何が問題なのか分からない」という段階からでも、お気軽にご相談ください。

参考:環境省「排出事業者責任の徹底について