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収集運搬業者と処分業者の役割の違いをわかりやすく解説
事業所から出る産業廃棄物を処理業者へ委託するとき、「収集運搬業者」と「処分業者」という二つの業者が関係します。
簡単に分けると、収集運搬業者は廃棄物を排出場所から処理施設まで運ぶ業者、処分業者は搬入された廃棄物を施設で処理する業者です。
同じ会社が収集運搬と処分の両方を行う場合もあるため、担当者から見ると違いが分かりにくいかもしれません。
しかし、両者は必要な許可、契約内容、マニフェスト上の役割が異なります。それぞれの役割を理解せずに委託すると、必要な許可の確認や委託契約が漏れるおそれがあります。
本記事では、主に産業廃棄物を対象として、収集運搬業者と処分業者の違いを実務に沿って解説します。
収集運搬業者と処分業者の違い
両者の違いを簡単に整理すると、次のようになります。
| 項目 | 収集運搬業者 | 処分業者 |
|---|---|---|
| 主な役割 | 廃棄物を運ぶ | 廃棄物を処理する |
| 業務の開始 | 排出事業者から廃棄物を受け取る | 処理施設で廃棄物を受け入れる |
| 業務の終了 | 契約した処理施設へ引き渡す | 中間処理または最終処分を行う |
| 主な設備 | 収集車両、運搬容器など | 破砕機、焼却炉、圧縮機、処分場など |
| 必要な許可 | 産業廃棄物収集運搬業 | 産業廃棄物処分業 |
| 契約の相手 | 排出事業者 | 排出事業者 |
収集運搬業者は、廃棄物を受け取って処分業者へ引き渡すまでを担当します。
処分業者は、引き渡された廃棄物を許可された方法で処理し、必要に応じて再資源化や最終処分につなげます。
収集運搬業者の役割
収集運搬業者の主な役割は、排出事業者の店舗、工場、事務所などから産業廃棄物を回収し、契約で定められた処分施設まで安全に運ぶことです。
単にトラックへ積んで運ぶだけでなく、次のような業務を行います。
- 排出場所から廃棄物を回収する
- 廃棄物の種類や数量を確認する
- 飛散・流出しない方法で積み込む
- 廃棄物の性状に合った車両や容器を使用する
- 契約で定められた施設へ運搬する
- マニフェストの運搬欄を管理する
- 運搬終了後に排出事業者へ報告する
収集運搬中に廃棄物が飛散したり、汚水が流出したりしないよう、シート、密閉容器、専用車両などを使用する必要があります。
廃油、汚泥、廃酸、感染性廃棄物など、性状によって必要な車両や容器、取扱方法も異なります。
収集運搬業者は自由な場所へ運べない
収集運搬業者は、回収した廃棄物を自社の判断で自由な場所へ運べるわけではありません。
委託契約書には、運搬先となる処分施設の名称や所在地などを記載します。収集運搬業者は、原則として契約で定められた施設へ運ばなければなりません。
また、委託する産業廃棄物の種類が、収集運搬業者の許可品目に含まれている必要があります。
排出場所と運搬先が異なる都道府県にある場合は、積込み場所と荷下ろし場所について必要な区域の許可も確認します。
「近くで営業している業者だから運べる」とは限らないため、許可証の区域、品目、有効期限を確認しましょう。
積替え・保管を行う場合
収集運搬業者が、回収した廃棄物を処分施設へ直接運ばず、途中の施設で一時的に降ろしたり、別の車両へ積み替えたりすることがあります。
これを「積替え・保管」といいます。
積替え・保管を行う場合は、その行為を含む許可が必要です。許可証に「積替え・保管を含む」などと記載されているかを確認します。
積替え・保管施設を利用する場合は、次の点も確認しましょう。
- 施設の所在地
- 保管できる廃棄物の種類
- 保管量
- 保管方法
- その後の運搬先
- 別の収集運搬業者へ引き渡すか
- 委託契約書への記載
- マニフェストの運用方法
排出事業者が把握していない場所へ一時保管されていないか、処理ルートを確認することが大切です。
処分業者の役割
処分業者の役割は、収集運搬業者が搬入した産業廃棄物を受け入れ、許可された方法で処理することです。
処分には、大きく分けて「中間処理」と「最終処分」があります。
中間処理
中間処理は、廃棄物を減量、安定化、無害化、再資源化しやすい状態にする処理です。
代表的な方法には、次のようなものがあります。
- 焼却
- 破砕
- 圧縮
- 切断
- 脱水
- 中和
- 選別
- 溶融
- 固化
たとえば、廃プラスチック類を破砕して原料化する、汚泥を脱水して容量を減らす、金属を選別して資源として回収するといった処理があります。
中間処理を行っても、すべてが再資源化されるとは限りません。処理後には、再生品のほかに燃え殻、汚泥、選別残さなどが発生することがあります。
最終処分
最終処分は、中間処理後も残った廃棄物などを埋立処分する工程です。
最終処分場には、廃棄物の性状などに応じて安定型、管理型、遮断型などの区分があります。
排出事業者は、中間処理施設へ委託して終わりではなく、中間処理後の残さがどこで最終処分されるかについても把握する必要があります。
処分業者の許可で確認すること
処分業者へ委託するときは、許可証の有無だけでなく、次の内容を確認します。
- 許可の有効期限
- 処分できる産業廃棄物の種類
- 許可された処分方法
- 処理施設の所在地
- 施設ごとの処理能力
- 許可条件や限定事項
- 中間処理後の処理先
- 最終処分先
たとえば、処分業の許可を持っていても、廃プラスチック類の破砕しか許可されていない業者へ、汚泥の脱水処理を委託することはできません。
品目と処分方法の両方が、実際の委託内容と一致しているかを確認する必要があります。
契約は誰と結ぶ?
産業廃棄物の処理を委託する排出事業者は、収集運搬業者と処分業者のそれぞれと、事前に書面で委託契約を結びます。
処理の流れが次のようになっている場合を考えてみましょう。
排出事業者
↓
収集運搬業者A
↓
中間処理業者B
この場合、排出事業者は収集運搬業者Aと収集運搬の委託契約を、処分業者Bと処分の委託契約を直接結びます。
収集運搬業者から「処分先はこちらで手配します」と説明されても、排出事業者が処分業者を把握せず、処分契約も結ばないまま任せることは避けなければなりません。
環境省の指針でも、排出事業者は収集運搬業者と中間処理業者または最終処分業者のそれぞれと、事前に書面で委託契約を締結することが示されています。環境省「建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について」
同じ会社が収集運搬と処分を行う場合
一つの会社が、収集運搬業と処分業の両方の許可を持っている場合があります。
その場合でも、収集運搬と処分は別の業務です。
確認する許可も、次の二つに分かれます。
- 産業廃棄物収集運搬業許可
- 産業廃棄物処分業許可
同じ法人へ運搬と処分の両方を委託する場合は、一つの契約書に両方の委託内容を記載することも可能ですが、それぞれについて法令上必要な事項が記載されている必要があります。
同じ会社だから一方の許可だけ確認すればよい、ということではありません。
環境省も、収集運搬と処分を同じ業者が行う場合であっても、それぞれを分けて評価する考え方を示しています。環境省「産業廃棄物の処理に係る契約Q&A」
マニフェストでは役割がどう分かれる?
マニフェストは、排出事業者が委託した産業廃棄物の流れを確認するための管理票です。
紙マニフェストでは、収集運搬業者と処分業者がそれぞれ担当した工程を記載し、終了後に所定の票を排出事業者へ返送します。
収集運搬業者が行うこと
- 廃棄物を引き取る
- 運搬担当者などを確認する
- 契約した処分施設へ運ぶ
- 運搬終了日を記載する
- 運搬終了を排出事業者へ報告する
処分業者が行うこと
- 廃棄物を受け入れる
- 委託された方法で処分する
- 処分終了日を記載する
- 中間処理後の最終処分を確認する
- 処分終了・最終処分終了を報告する
電子マニフェストでも基本的な役割は同じです。
排出事業者は、運搬が終了したことだけでなく、処分と最終処分まで終了したことを確認します。
料金の違い
収集運搬業者へ支払う料金と、処分業者へ支払う料金も役割に応じて異なります。
収集運搬料金に影響する要素
- 排出場所から処分施設までの距離
- 回収頻度
- 使用する車両
- 廃棄物の量
- 積込み作業
- 回収時間
- 高速道路や燃料の費用
- 積替え・保管の有無
処分料金に影響する要素
- 廃棄物の種類
- 重量や容量
- 汚れや異物の混入
- 処分方法
- 選別作業
- 再資源化の可否
- 処理後に発生する残さ
- 最終処分費
見積書や請求書で「処理費一式」となっている場合は、収集運搬費と処分費の内訳を確認すると、費用を見直しやすくなります。
業者選定で確認したいポイント
収集運搬業者
- 必要な区域の許可があるか
- 委託する品目が許可に含まれているか
- 適切な車両・容器を使用しているか
- 積替え・保管を行うか
- 回収頻度と時間に対応できるか
- 緊急回収が可能か
- マニフェストを適切に運用できるか
処分業者
- 委託品目と処分方法が許可に含まれているか
- 必要な処理能力があるか
- 保管状況に問題がないか
- 中間処理後の流れが明確か
- 再資源化率や残さを説明できるか
- 最終処分先を確認できるか
- 実地確認を受け入れているか
業者名や料金だけでなく、それぞれの役割に応じて評価しましょう。
よくある質問
収集運搬業者が処分業者を紹介してもよいですか?
紹介や処理ルートの提案を受けることは可能です。ただし、排出事業者自身が処分業者の許可と処理内容を確認し、直接委託契約を結ぶ必要があります。
収集運搬業者へ処分料金もまとめて支払えますか?
料金を一括して支払う運用が行われる場合もありますが、支払方法と委託契約は別の問題です。排出事業者と収集運搬業者・処分業者との契約関係や、料金の内訳を明確にしておく必要があります。
収集運搬業者が回収後に処分先を変更してもよいですか?
排出事業者に無断で、契約と異なる処分先へ運ぶことは適切ではありません。処分先を変更する場合は、許可内容を確認し、必要に応じて契約書やマニフェストの運用を見直します。
一般廃棄物でも同じ考え方ですか?
一般廃棄物にも収集運搬と処分の役割がありますが、許可や委託方法は市町村の制度によって異なります。事業系一般廃棄物については、事業所を管轄する自治体のルールを確認してください。
まとめ|運ぶ業者と処理する業者を分けて確認する
収集運搬業者と処分業者の違いは、次のように整理できます。
- 収集運搬業者は、排出場所から処分施設まで廃棄物を運ぶ
- 処分業者は、施設で廃棄物を中間処理または最終処分する
- 必要な許可はそれぞれ異なる
- 排出事業者は原則として両者と直接契約する
- 同じ会社が両方を行う場合も、二つの許可を確認する
- マニフェストで運搬・処分・最終処分の終了を確認する
エコビジョンでは、企業や多店舗事業者の産業廃棄物について、収集運搬業者と処分業者の整理、許可証の確認、委託契約書の整備、マニフェスト運用、処理ルートの可視化などを支援しています。
「回収業者しか把握していない」「実際の処分先が分からない」「店舗ごとに処理ルートが異なっている」といった場合も、現在の契約と処理の流れを整理するところからご相談いただけます。
