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- 1 委託先の現地確認では何を見る?実地確認の基本
委託先の現地確認では何を見る?実地確認の基本
産業廃棄物の処理を委託するときは、許可証や委託契約書を確認するだけでなく、廃棄物が実際にどのような施設で処理されているかを確認することも重要です。
書類上は適正に見えても、現地では保管量が多すぎる、廃棄物が混在している、委託した処理方法と実際の設備が一致していないといった問題が見つかる可能性があります。
ただし、処理施設を訪問して全体を眺めるだけでは、十分な確認にはなりません。訪問前に委託内容を整理し、保管、処理設備、処理後物、帳票、安全管理など、確認する項目を決めておく必要があります。
本記事では、委託先の実地確認で見るべきポイントと、確認結果の記録方法について解説します。
委託先の実地確認とは?
実地確認とは、産業廃棄物の排出事業者が、委託先となる処理施設などを訪問し、廃棄物が適正に保管・処理されているかを確認することです。
廃棄物処理法では、事業者は産業廃棄物の処理を委託した場合でも、発生から最終処分までの一連の処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされています。
環境省も、処理業者へ委託した後も排出事業者の処理責任はなくならないと案内しています。環境省「排出事業者責任の徹底について」
処理状況は、許可証、マニフェスト、処理業者のホームページなどでも確認できます。しかし、設備の稼働状況や保管場所の整理状態など、現地でなければ分からないこともあります。
大阪府も、処理状況の確認には間接的な方法があるものの、実地確認に勝るものはないとして、排出事業者向けのチェックシートを公開しています。大阪府「排出事業者が行う処分施設実地確認について」
実地確認は法律上必ず行うもの?
廃棄物処理法では、排出事業者に対して処理状況を確認し、適正処理に必要な措置を講ずる努力義務が定められています。
一方、すべての排出事業者に対して、全国一律で「毎年1回、必ず現地へ行く」と定められているわけではありません。
ただし、自治体によっては条例などにより、対象となる排出事業者へ実地確認を求めている場合があります。実施頻度、対象施設、記録の保存期間などが定められていることもあるため、排出事業場と委託先を管轄する自治体のルールを確認しましょう。
法令上の義務の有無だけで判断するのではなく、委託量、廃棄物の性状、処理ルート、不適正処理が発生した場合の影響などに応じて確認方法を決めることが大切です。
実地確認の前に準備するもの
現地へ行く前に、現在の委託内容を整理します。
事前に確認したい資料
- 産業廃棄物処理委託契約書
- 収集運搬業と処分業の許可証
- 委託している産業廃棄物の種類
- 委託している処分方法
- マニフェストの交付記録
- 処理フロー図
- 前回の実地確認記録
- 過去の改善依頼と対応状況
- 事故や行政処分などの情報
- 当日の確認チェックシート
契約書に「廃プラスチック類の破砕」と記載されているなら、現地では対象品目が実際に受け入れられ、許可された破砕設備で処理されているかを確認します。
事前資料と現場を結びつけて見ることが、実地確認の基本です。
まず許可内容と施設情報を確認する
現地では、最初に処理業者の説明を受け、次の内容を確認します。
- 施設の名称と所在地
- 許可番号と有効期限
- 許可されている廃棄物の種類
- 許可されている処分方法
- 施設の処理能力
- 保管できる品目と保管量
- 営業時間と稼働時間
- 処理工程
- 処理後物と残さの行き先
許可証を持っていることだけでなく、自社が委託している廃棄物と処分方法が許可範囲に含まれているかを確認します。
処理施設の所在地が契約書に記載された場所と一致しているか、契約時から処理方法や設備が変わっていないかも確認しましょう。
搬入時の確認体制を見る
廃棄物が施設へ到着した際、どのように受け入れられているかを確認します。
主な確認項目
- 搬入車両の受付方法
- マニフェストの確認
- 廃棄物の種類と数量の確認
- 計量設備の有無
- 契約外品や異物の確認
- 受入れできない廃棄物が見つかった場合の対応
- 搬入記録の保存方法
- 車両の誘導と安全対策
入口にトラックスケールがあっても、すべての車両を計量しているとは限りません。重量をどの段階で確定し、マニフェストや請求へどのように反映しているかまで確認します。
契約外の廃棄物や危険物が混入していた場合に、排出事業者へ連絡する仕組みがあるかも重要です。
保管場所では何を見る?
保管場所では、廃棄物が種類ごとに適切に区分されているかを確認します。
確認したいポイント
- 廃棄物の種類ごとに区画されているか
- 区画や容器に品目が表示されているか
- 保管量が過剰になっていないか
- 廃棄物が容器や囲いからあふれていないか
- 飛散、流出、地下浸透のおそれがないか
- 悪臭、害虫、汚水などが発生していないか
- 雨水が入り込まない対策があるか
- 他社の廃棄物や処理後物と混在していないか
- 火災や発熱への対策があるか
- 通路や作業スペースが確保されているか
保管場所が整理されているかという見た目だけでなく、許可された品目と実際に保管されている物が一致しているかを確認します。
大量の廃棄物が長期間動いていないように見える場合は、搬入量と処理量のバランス、保管期間、処理設備の稼働状況などを質問しましょう。
処理設備と実際の工程を確認する
処理設備では、自社の廃棄物がどの設備を通り、どのように処理されるかを説明してもらいます。
- 設備が許可内容と一致しているか
- 契約書に記載された処分方法が行われているか
- 設備が実際に稼働しているか
- 処理能力に対して搬入量が過剰でないか
- 故障時の対応方法が決められているか
- 粉じん、騒音、振動、汚水などの対策があるか
- 作業員の安全対策が取られているか
- 日常点検や定期整備が行われているか
設備が停止している場合は、一時的な点検なのか、故障による長期停止なのかを確認します。
処理設備が使えない期間に搬入された廃棄物を、どこで保管し、どのように処理するのかも確認が必要です。
処理後の物と残さの行き先を見る
中間処理施設では、破砕、圧縮、焼却、選別などを行った後にも、再生品や処理残さが発生します。
実地確認では、搬入された廃棄物だけでなく、処理後の流れまで確認します。
- 処理後物の種類
- 再生利用される物の品質
- 売却先や再資源化先
- 処理残さの種類と発生割合
- 処理残さの委託先
- 最終処分場
- 処理後物と未処理物の区分
- 出荷量や搬出量の記録
「リサイクルしています」という説明だけで終わらせず、何がどのような製品や原料になり、どこへ搬出されているかを確認します。
再資源化できない残さについても、その後の処理ルートを把握することが大切です。
帳票と現場が一致しているか確認する
実地確認では、現場だけでなく記録類も確認します。
- 搬入記録
- 計量記録
- 処理実績
- 搬出記録
- マニフェストの管理状況
- 設備の点検記録
- 事故・苦情の記録
- 従業員教育の記録
- 緊急時対応の手順
- 二次委託の有無
重要なのは、帳票上の数量と現場の状態に大きな矛盾がないことです。
処理実績に対して保管量が不自然に多い、搬出先が説明できない、マニフェストの処理終了日と実際の処理工程が合わないといった場合は、理由を確認します。
安全管理と緊急時対応も確認する
適正処理を継続するには、施設の安全管理も欠かせません。
- 作業員が保護具を使用しているか
- 車両と歩行者の通路が分離されているか
- 消火器や消防設備が設置されているか
- 発火しやすい廃棄物が分別されているか
- 漏えいや流出時の資材が準備されているか
- 緊急連絡網が整備されているか
- 事故発生時に排出事業者へ連絡する仕組みがあるか
- 周辺住民からの苦情に対応しているか
特に、リチウムイオン電池、引火性廃油、感染性廃棄物などを取り扱う施設では、品目に応じた事故防止策を確認します。
写真撮影は事前に許可を取る
確認結果を残すために写真は有効ですが、処理施設には顧客情報、設備情報、他社の廃棄物などが含まれる場合があります。
撮影する場合は、事前に施設側の許可を取り、撮影できる場所と対象を確認します。
撮影ができない場合は、チェックシートへ具体的な状態を記録し、必要に応じて施設側から資料や写真を提供してもらいましょう。
問題を見つけたときの対応
実地確認で気になる点が見つかっても、その場で直ちに不適正処理と断定できるとは限りません。
まず、処理業者へ状況と理由を確認し、許可証、処理記録、写真などの資料を求めます。
改善が必要な場合は、次の内容を記録します。
- 確認した事実
- 処理業者からの説明
- 改善を求める内容
- 対応期限
- 担当者
- 改善後に提出してもらう資料
- 再確認の方法と時期
重大な問題や説明できない不一致がある場合は、新たな搬出を一時的に見合わせることも検討します。必要に応じて、管轄する自治体や専門家へ相談しましょう。
実地確認後に報告書を作成する
訪問後は、確認した内容を社内報告書として残します。
報告書に入れたい項目
- 実施日
- 訪問した施設
- 対応者
- 自社の参加者
- 対象となる契約と廃棄物
- 確認した場所と設備
- 確認結果
- 写真
- 質問と回答
- 指摘事項
- 改善依頼
- 次回の確認時期
- 社内承認者
単に「問題なし」と記載するのではなく、何を確認して問題なしと判断したのかが分かるようにします。
前回の報告書と比較すれば、以前の指摘が改善されているか、設備や処理ルートに変更がないかも確認できます。
実地確認の頻度はどう決める?
実地確認の頻度は、自治体の条例や社内基準を確認したうえで、委託先ごとのリスクに応じて決めます。
たとえば、次のような委託先は優先的に確認します。
- 新しく契約した処理業者
- 委託量が多い処理業者
- 特別管理産業廃棄物を委託している施設
- 処理ルートや施設を変更した処理業者
- 事故や行政指導などの情報があった処理業者
- マニフェストの返送や報告に遅れがある処理業者
- 前回の実地確認で改善事項があった処理業者
すべての施設を同じ頻度で訪問するのではなく、書面確認と実地確認を組み合わせ、リスクに応じた計画を立てる方法が現実的です。
よくある質問
収集運搬業者の事務所も確認する必要がありますか?
実地確認では処分施設が中心になりますが、必要に応じて収集運搬業者の車両、容器、積替え・保管施設、マニフェスト管理なども確認します。
最終処分場まで行く必要がありますか?
すべての案件で必ず訪問するとは限りません。ただし、委託量や廃棄物の性状、処理ルートのリスクなどに応じて、最終処分場の確認も検討します。
オンラインでの確認でもよいですか?
資料、写真、映像などによる確認も方法の一つです。ただし、現場全体の状態や設備の稼働状況など、オンラインでは把握しにくい項目があります。条例等で実地確認が求められている場合は、その要件にも注意が必要です。
チェックシートがあれば十分ですか?
チェックシートは確認漏れを防ぐために有効ですが、すべての施設へ同じ項目を機械的に当てはめるだけでは不十分です。委託している廃棄物と処理方法に合わせて項目を調整しましょう。
まとめ|書類と現場をつなげて確認する
委託先の実地確認では、施設がきれいかどうかを見るだけではありません。
- 許可内容と委託契約が一致しているか
- 搬入時に廃棄物を確認しているか
- 適切に区分して保管しているか
- 許可された設備で処理しているか
- 処理後物と残さの行き先が明確か
- 帳票と現場の状態が一致しているか
- 安全管理や緊急時対応が整っているか
これらを確認し、結果と改善状況を記録することが大切です。
エコビジョンでは、企業や多店舗事業者の委託先管理について、許可証・契約書の確認だけでなく、処理施設の実地確認への立ち会い、チェックシートの作成、確認結果の整理、改善事項のフォローまで支援しています。
「現地へ行っても何を確認すればよいか分からない」「委託先が多く、確認計画を立てられていない」といった場合も、処理ルートとリスクを整理したうえで、実務に合った確認方法をご提案します。
