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委託先の現地確認では何を見る?実地確認の基本
産業廃棄物の処理を委託するときは、許可証や契約書を確認するだけでなく、実際の処理施設を訪問し、廃棄物がどのように保管・処理されているかを確認することが重要です。
現地確認では、施設が整理整頓されているかだけを見るのではありません。
許可内容と実際の設備が一致しているか、受け入れた廃棄物を適正に処理できるか、処理後に発生する残さがどこへ運ばれるかなど、一連の処理を確認します。
本記事では、主に産業廃棄物の処分施設を対象として、委託先の現地確認で見るべき項目と、確認結果を記録する際のポイントを解説します。
現地確認を行う目的
現地確認の目的は、委託した産業廃棄物が、契約や許可の内容に沿って適正に処理されていることを確認することです。
主に次の内容を確かめます。
- 許可証と実際の施設・設備が一致しているか
- 委託する廃棄物を受け入れられるか
- 保管量や処理能力に無理がないか
- 廃棄物が適切に分別・保管されているか
- 許可された方法で処理されているか
- 処理後物や残さの行き先が明確か
- 事故や火災、漏えいへの対策があるか
- マニフェストや帳票と現場が一致しているか
施設の外観がきれいであることだけでは、適正処理を確認したことにはなりません。
搬入から処理、処理後物の搬出まで、廃棄物がどのように流れているかを追って確認することが大切です。
現地確認は法律上の義務?
廃棄物処理法では、排出事業者は、産業廃棄物の最終処分が終了するまでの一連の処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされています。
その確認方法の一つが、委託先の処理施設を訪問する現地確認です。
ただし、国の制度では、すべての排出事業者に対して一律に現地訪問を義務付けているわけではありません。環境省は、処理状況を適切に確認できていれば、必ずしも実地に行くことだけを求めるものではないと説明しています。環境省「平成22年改正廃棄物処理法についてのQ&A」
一方、一部の自治体では、条例によって委託先の実地確認や記録の保存を義務付けている場合があります。
委託先または排出事業所を管轄する自治体の条例、要綱、県外産業廃棄物の搬入事前協議なども確認しましょう。
現地確認の前に準備する資料
現地へ行ってから説明を聞くだけでは、確認が表面的になりやすくなります。
事前に次の資料を用意し、確認したい項目を整理しておきましょう。
- 産業廃棄物処分業許可証
- 収集運搬業許可証
- 委託契約書
- 処理フロー図
- マニフェストの交付・登録実績
- 月別の委託量
- 処理施設の所在地と処理能力
- 中間処理後の処理先一覧
- 過去の現地確認記録
- 事故、行政処分、改善報告などの資料
自社が委託している廃棄物の種類、数量、処分方法、搬入先を確認し、「今回の施設で何が行われているのか」を把握してから訪問します。
搬入時の受入体制を見る
まず確認したいのが、搬入された廃棄物をどのように受け入れているかです。
主な確認項目
- 搬入車両を受付で確認しているか
- 契約先や排出事業者を確認しているか
- マニフェストと搬入物を照合しているか
- 重量や数量を計測しているか
- 目視検査や写真記録を行っているか
- 受入基準に合わない廃棄物を排除しているか
- 不適合物があった場合の連絡方法が決まっているか
委託契約に含まれていない廃棄物や、処理できない異物を無条件で受け入れている施設は注意が必要です。
廃棄物の種類、排出元、数量を確認し、不適合物があった場合に受入拒否や排出事業者への連絡が行われているかを確認します。
保管場所と保管量を見る
搬入後の廃棄物が、処理までどのように保管されているかを確認します。
主な確認項目
- 廃棄物の種類ごとに区分されているか
- 保管場所が明確に表示されているか
- 容器や囲いが適切に使用されているか
- 飛散、流出、地下浸透、悪臭への対策があるか
- 雨水が入り込まない構造になっているか
- 容器から廃棄物があふれていないか
- 通路や作業スペースを塞いでいないか
- 保管上限を超えていないか
- 長期間動いていない廃棄物がないか
保管場所が整理されていても、処理能力に対して搬入量が多すぎる場合は、廃棄物が徐々に積み上がる可能性があります。
現在の保管量だけでなく、平均的な搬入量、処理量、保管期間も確認しましょう。
処理設備と稼働状況を見る
次に、委託する廃棄物を実際に処理する設備を確認します。
主な確認項目
- 許可証に記載された設備が存在するか
- 許可された処分方法で処理しているか
- 設備が実際に稼働しているか
- 委託量を処理できる能力があるか
- 故障時の代替設備や対応方法があるか
- 点検・整備の記録が残されているか
- 処理前後の廃棄物を区分しているか
- 操作担当者が適切に配置されているか
許可証に処理能力が記載されていても、設備の故障、作業員不足、受入量の増加などによって、実際には十分な処理ができていない場合があります。
設備の名称や仕様だけでなく、稼働日数、日々の処理量、停止期間なども確認すると、継続して処理できるかを判断しやすくなります。
処理後物と残さの行き先を見る
中間処理施設では、処理によって再生品や有価物が生まれる一方、燃え殻、汚泥、選別残さなどが発生することがあります。
現地確認では、処理後に何が生じ、どこへ搬出されているかを確認します。
- 再生品や有価物の種類
- 再資源化される量や割合
- 売却先や利用先
- 処理後に発生する残さの種類
- 残さの保管方法
- 残さの収集運搬業者
- 次の中間処理先
- 最終処分場
- 搬出量や在庫量の記録
「すべてリサイクルしています」という説明だけで判断せず、再生品として実際に利用・売却されているかを確認します。
再生品の在庫が長期間積み上がっている場合や、利用先を説明できない場合は、安定した再資源化ルートになっているかを確認する必要があります。
火災・漏えい・災害への対策を見る
廃棄物処理施設では、廃油、電池、廃プラスチック類などが火災の原因になることがあります。
また、液状の廃棄物や汚水が流出すれば、周辺環境へ影響するおそれがあります。
主な確認項目
- 消火器や消火設備が配置されているか
- リチウムイオン電池などを分離しているか
- 発火時の隔離場所があるか
- 油や薬品の流出防止対策があるか
- 排水や汚水の管理が行われているか
- 緊急時の連絡体制が定められているか
- 避難経路が確保されているか
- 事故や火災を想定した訓練を行っているか
- 災害時の廃棄物流出防止策があるか
過去に事故や火災が発生している場合は、原因と再発防止策も確認します。
帳票と現場が一致しているかを見る
現地確認では、書類上の記録と実際の現場を照合することも重要です。
- マニフェストの数量と搬入記録
- 計量票と請求数量
- 日報に記載された処理量
- 保管量と在庫台帳
- 処理後物の搬出記録
- 残さのマニフェスト
- 設備の運転記録
- 契約書に記載された処理先
帳票が整っていても、現場の保管量や処理状況と大きく異なっている場合は、その理由を確認します。
逆に、現場では処理されていても、数量や搬出先を記録できていなければ、排出事業者が処理状況を追跡できません。
従業員や現場責任者へ質問する
施設案内を営業担当者だけに任せず、可能であれば現場責任者や設備担当者にも話を聞きます。
質問例
- 受け入れられない廃棄物が来た場合はどうしますか
- 一日の平均搬入量と処理量はどの程度ですか
- 設備が停止した場合はどう対応しますか
- 混入しやすい異物には何がありますか
- 処理後の残さはどこへ搬出しますか
- 最近発生した事故やトラブルはありますか
- 火災や漏えいが起きた場合の連絡手順はありますか
- 排出事業者へどのような処理実績を報告できますか
説明内容が担当者によって大きく異なっていないか、質問に対して具体的な記録や数字を示せるかも確認の材料になります。
現地確認の結果を記録する
現地確認を実施したら、確認した事実と判断を記録します。
記録しておきたい内容
- 確認日
- 施設名と所在地
- 確認者と対応者
- 委託している廃棄物の種類
- 確認した設備と保管場所
- 搬入・保管・処理・搬出の状況
- 許可証や契約との相違
- 写真
- 質問内容と回答
- 問題点と改善依頼
- 改善期限
- 次回の確認予定
写真は、施設全体、保管場所、処理設備、処理後物、残さなど、後から状況を確認できるように撮影します。撮影前には施設側の許可を取り、撮影禁止区域や他社の情報が写り込まないよう注意しましょう。
「問題なし」とだけ記載するのではなく、何を確認して問題がなかったのかを残すことが大切です。
問題が見つかった場合の対応
現地確認で問題を見つけても、その場で説明を受けただけで終わらせないようにします。
問題の程度に応じて、次のように対応します。
- 事実関係を記録する
- 契約書や許可証と照合する
- 改善内容と期限を書面で確認する
- 改善後の写真や報告書を受け取る
- 必要に応じて再度現地を確認する
- 新規搬入や委託量の増加を見合わせる
- 代替処理先を検討する
- 重大な問題は行政へ相談する
無許可品目の受入れ、契約外の処理先への搬出、保管上限の超過、不適切な再委託などが疑われる場合は、委託の継続を慎重に判断する必要があります。
現地確認は一度で終わりではない
契約前に問題がなくても、その後に受入量、設備、処理方法、残さの搬出先などが変わる場合があります。
次のようなときは、再確認を検討しましょう。
- 委託契約を更新するとき
- 委託量や廃棄物の種類が増えたとき
- 処分方法や処理ルートが変わったとき
- 許可証が更新されたとき
- 事故や行政処分が発生したとき
- マニフェストの返送や報告が遅れたとき
- 処理料金が大幅に下がったとき
- 保管量の増加が疑われるとき
重要度や委託量、廃棄物の性状、過去の確認結果などを基に、委託先ごとの確認頻度を決める方法もあります。
まとめ|搬入から処理後まで一連の流れを確認する
委託先の現地確認では、施設の印象だけでなく、次の内容を確認します。
- 搬入時の確認体制
- 廃棄物の分別と保管状況
- 保管量と処理能力
- 許可内容と実際の設備
- 処理設備の稼働状況
- 再生品や処理後物の利用先
- 処理残さと最終処分先
- 火災、漏えい、災害への対策
- 帳票と現場の整合性
- 問題発見後の改善状況
産業廃棄物の処理を業者へ委託しても、排出事業者の責任がなくなるわけではありません。環境省「排出事業者責任の徹底について」
エコビジョンでは、企業や多店舗事業者の産業廃棄物について、委託先の現地確認、確認項目の整理、許可証・契約書との照合、処理ルートの可視化、確認記録の作成などを支援しています。
「現地へ行っても何を見ればよいか分からない」「委託先ごとに確認内容が異なっている」といった場合も、廃棄物の種類や処理方法に応じた確認項目の整備からご相談いただけます。
