Contents
段ボール・古紙を適切に分別するメリット
店舗、オフィス、倉庫などでは、商品の梱包材、コピー用紙、チラシ、カタログなど、さまざまな紙類が発生します。
これらを可燃ごみとしてまとめて排出している企業もありますが、状態のよい段ボールや古紙は、種類ごとに分別することで再生資源として活用できる可能性があります。
ただし、「紙であれば何でも同じ袋へ入れてよい」というわけではありません。
段ボール、新聞、雑誌、オフィスペーパーなどは、それぞれ品質や再生後の用途が異なります。汚れた紙や加工された紙などが混ざると、リサイクルを妨げることもあります。
本記事では、企業が段ボール・古紙を適切に分別するメリットと、排出時に注意したいポイントを解説します。
段ボール・古紙は何に生まれ変わる?
回収された古紙は、製紙工場で異物やインクなどを取り除き、再び紙の原料として利用されます。
一般的には、次のような用途があります。
| 古紙の種類 | 主な再利用先 |
|---|---|
| 段ボール | 段ボール箱、紙筒など |
| 新聞 | 新聞紙、コピー用紙など |
| 雑誌 | 段ボール原紙、紙箱など |
| オフィスペーパー | 印刷用紙、トイレットペーパーなど |
| 雑がみ | 板紙、紙箱、段ボール原紙など |
実際の用途は、古紙の品質や製紙工場の設備、回収業者の受入基準によって異なります。
古紙をリサイクルするときは、種類ごとに分けるだけでなく、製紙原料にならない「禁忌品」を混ぜないことが重要です。禁忌品の混入は、製紙設備のトラブルや再生紙の品質低下につながります。公益財団法人古紙再生促進センター「紙リサイクルの基礎知識」
適切に分別する5つのメリット
段ボール・古紙の分別は、環境配慮だけでなく、企業のコストや現場運用にも関係します。
1.可燃ごみの処理費用を抑えられる
段ボールや古紙を可燃ごみから分けると、焼却処理する廃棄物の量を減らせます。
可燃ごみの料金が重量や袋数、容器数、回収回数によって決まっている場合は、古紙を分別することで処理費用を削減できる可能性があります。
たとえば、段ボールが可燃ごみ容器の大部分を占めている店舗では、段ボールを別回収に切り替えることで、次のような見直しができます。
- 可燃ごみの回収頻度を減らす
- 使用する容器を小さくする
- 有料ごみ袋の使用枚数を減らす
- 臨時回収の発生を抑える
- 焼却処理量を減らす
ただし、古紙回収にも運搬費や作業費がかかります。
古紙の売却価格だけを見るのではなく、可燃ごみの減少額と古紙回収にかかる費用を合わせて比較しましょう。
2.資源として売却できる可能性がある
分別状態がよく、一定量を安定して排出できる段ボールや古紙は、資源として買い取ってもらえる場合があります。
買い取りの可否や価格は、次の条件によって変わります。
- 古紙の種類
- 排出量
- 回収頻度
- 保管状態
- 異物の混入率
- 水分や汚れ
- 回収場所
- 古紙の市場価格
- 運搬にかかる費用
少量の古紙を遠方まで回収する場合は、資源価値よりも回収費用の方が高くなることがあります。
そのため、必ず有価物として売却できるわけではありません。
一方、多店舗企業では、店舗ごとの排出量が少なくても、地域単位で回収ルートを組むことで効率を高められる可能性があります。
3.ごみ置き場を整理しやすくなる
段ボールを箱の形のまま置いておくと、保管場所を大きく占有します。
中に緩衝材や伝票、商品が残っているかも確認しにくくなります。
段ボールを開いて平らにし、サイズや回収方法に応じてまとめることで、保管スペースを効率的に使えます。
また、紙類を種類別に保管すると、可燃ごみの袋へ無理に詰め込む必要がなくなり、ごみ置き場からのあふれも防ぎやすくなります。
保管場所が整理されることで、異物混入や回収漏れにも気づきやすくなります。
4.リサイクルの品質を高められる
古紙は、種類によって繊維の性質や再生後の用途が異なります。
段ボール、新聞、雑誌、オフィスペーパーなどを分けることで、回収後の選別作業を減らし、製紙原料として利用しやすくなります。
反対に、異なる紙や禁忌品が大量に混ざると、回収業者による選別作業が増えます。
混入状態によっては、古紙として受け入れられず、廃棄物として処理される場合もあります。
分別は、回収量を増やすだけでなく、回収した古紙を実際に再資源化できる品質に保つために必要です。
5.環境への取り組みを数字で示せる
段ボール・古紙を分別回収すると、可燃ごみからどれだけ資源へ切り替えたかを把握できます。
- 古紙の回収量
- 可燃ごみの削減量
- 店舗別の分別量
- リサイクル率
- 処理費用の変化
- 分別実施店舗数
このような情報を継続して記録すれば、環境方針、サステナビリティ報告、取引先からの調査などで、取り組みの根拠として活用できます。
「古紙を分別しています」という説明だけでなく、回収量や対象店舗数を示せる状態を目指しましょう。
古紙として分けたい主な紙類
事業所で発生する古紙は、回収業者の区分に合わせて分けます。
段ボール
商品の梱包や納品に使われる、断面が波状になった紙製の箱です。
中身を空にし、伝票や粘着テープ、ビニール、緩衝材などを可能な範囲で取り除きます。
箱は開いて平らにし、ひも、専用カート、圧縮機など、回収業者が指定する方法でまとめます。
新聞・雑誌
新聞紙と折込チラシ、雑誌、カタログ、パンフレット、書籍などです。
ビニール製の包装や付録、CD、試供品など、紙以外のものは取り除きます。
新聞と雑誌を分ける必要があるかは、回収業者の基準を確認してください。
オフィスペーパー
コピー用紙、帳票、社内資料など、主にオフィスで使用する紙です。
クリップ、ファイル、プラスチック製の表紙などを取り除きます。
ホチキスの針や窓付き封筒など、どこまで除去する必要があるかは、処理設備や回収条件によって異なります。
雑がみ
包装紙、紙袋、封筒、紙箱、メモ用紙など、新聞、雑誌、段ボール以外の再生可能な紙類です。
紙袋などを回収容器として使用すると、店舗でも分別しやすくなります。
ただし、雑がみに見えてもリサイクルできない加工紙があるため、対象品目を具体的に決める必要があります。
古紙へ混ぜない方がよいもの
紙のように見えても、製紙原料に適さないものがあります。
代表的なものには次のようなものがあります。
- 食品や油で汚れた紙
- 水にぬれた紙
- においが付着した紙
- 感熱紙
- カーボン紙
- ノーカーボン紙
- 防水加工された紙
- 合成紙
- 圧着はがき
- 写真
- アイロンプリント紙
- シールや粘着紙
- 金属やプラスチックが付いた紙
- ワックス加工された段ボール
- 使用済みティッシュや紙タオル
特に注意したいのが、食品を直接入れていた紙箱や油が付いた段ボールです。
一部分だけが汚れている場合に、汚れた部分を切り離せば残りを古紙として出せるかどうかは、回収業者へ確認します。
古紙再生促進センターも、ワックスが塗られた段ボールや食品残さの付いた紙などを主な禁忌品として挙げています。公益財団法人古紙再生促進センター「事業所からリサイクル」
段ボールに残りやすい異物
店舗の段ボールには、紙以外のものが残りやすいため注意が必要です。
- 宅配便や納品の伝票
- 粘着テープ
- PPバンド
- ビニール袋
- 発泡スチロール
- エアクッション
- 金属製の留め具
- 商品やサンプル
- 食品残さ
- 木製パレットの破片
段ボール箱を開かずに積み重ねると、異物や商品の残留に気づけません。
必ず中身を確認してから、開いて保管するルールにしましょう。
伝票を取り除くことは、個人情報や取引情報の流出防止にもつながります。
保管方法にも注意する
適切に分別した古紙でも、保管中にぬれたり汚れたりすると、資源としての品質が低下します。
保管時のポイント
- 雨が入らない場所に置く
- 地面へ直接置かない
- 生ごみや液体の近くを避ける
- 種類ごとに置き場を分ける
- 通路や避難経路を塞がない
- 火気の近くに置かない
- 大量にためすぎない
- 回収しやすい状態でまとめる
紙類は可燃物でもあるため、保管量が多い場合は火災対策も必要です。
出入口や消火設備の前を塞がず、回収日まで安全に保管できる量を決めましょう。
分別ルールを現場へ定着させる方法
分別区分を増やすだけでは、現場で正しく運用されるとは限りません。
排出物の写真を使う
「古紙」「雑がみ」といった文字だけでは、従業員によって判断が分かれます。
店舗で実際に発生する段ボール、チラシ、伝票、紙箱などの写真を使い、入れてよいものと入れてはいけないものを示しましょう。
保管場所の近くに表示する
分別表が事務所内にしかなければ、廃棄するたびに確認できません。
段ボール置き場や古紙回収箱の近くに、簡潔なルールを掲示します。
判断に迷うものの連絡先を決める
新しい包装材や加工紙が増えると、既存の分別表だけでは判断できないことがあります。
迷ったものを勝手に古紙へ入れず、店舗責任者や本部へ確認できる仕組みを作ります。
回収業者の基準を確認する
古紙として受け入れられる品目や異物の許容範囲は、回収業者や製紙ルートによって異なります。
一般的な分別方法だけで決めず、実際の搬出先が求める基準を確認しましょう。
古紙回収を見直すときの確認項目
段ボール・古紙の分別回収を始めるときは、次の項目を整理します。
- 店舗ごとの古紙の種類
- 月間のおおよその排出量
- 現在の処理方法と費用
- 保管できる場所と量
- 回収業者
- 回収頻度
- 古紙の買い取り条件
- 運搬費や容器代
- 禁忌品の基準
- 分別不良時の対応
- 計量票や回収実績の発行
- 機密文書の処理方法
料金だけでなく、店舗で無理なく分別できるか、回収まで安全に保管できるかも含めて検討します。
段ボール・古紙は一般廃棄物?産業廃棄物?
事業所から排出される紙くずの区分は、排出した業種や発生過程などによって異なります。
廃棄物処理法上の産業廃棄物である「紙くず」は、建設業、紙・紙加工品製造業、印刷出版業など、一定の業種や事業活動から排出されたものが対象です。
小売店や一般的なオフィスから出る紙類は、廃棄物として処理する場合、事業系一般廃棄物に該当することが一般的です。
一方、品質や取引条件を満たし、資源として有償で売却される場合は、有価物として扱われることがあります。
「段ボールだから必ず有価物」「事業所から出た紙だから必ず産業廃棄物」と判断せず、排出状況と取引実態、自治体や回収業者のルールを確認しましょう。
よくある質問
テープはすべて剥がす必要がありますか?
テープの除去基準は回収業者によって異なります。可能な範囲で取り除き、どこまで必要かを契約する業者へ確認してください。
雨にぬれた段ボールも回収できますか?
少量の水分であれば受け入れられる場合もありますが、品質低下や重量増加の原因になります。濡れた状態で他の古紙へ混ぜず、回収業者へ相談しましょう。
古紙は必ず買い取ってもらえますか?
必ず買い取られるわけではありません。品質、量、市況、回収距離などによって、無償回収や有料回収になる場合もあります。
機密書類も通常の古紙へ入れられますか?
情報漏えいのリスクがあるため、通常の古紙とは分けて管理する方が安全です。施錠容器、未開封処理、溶解処理、処理証明書など、機密性に応じた方法を選びます。
まとめ|分別量だけでなく古紙の品質を高める
段ボール・古紙を適切に分別すると、次のようなメリットがあります。
- 可燃ごみを削減できる
- 処理費用を見直せる
- 資源として売却できる可能性がある
- ごみ置き場を整理しやすくなる
- 再生資源として利用しやすくなる
- 環境への取り組みを数字で示せる
重要なのは、紙類の回収量だけを増やすことではありません。
種類ごとに分け、汚れた紙や加工紙、プラスチックなどの禁忌品を混ぜず、再生資源として利用できる品質を保つ必要があります。
エコビジョンでは、企業や多店舗事業者の廃棄物について、段ボール・古紙の分別方法、回収ルート、保管場所、処理費用、再資源化実績などを整理し、現場で継続できる運用づくりを支援しています。
「店舗ごとに分別方法が違う」「古紙回収を導入したいが、費用面の効果が分からない」といった場合も、現在の排出量と処理条件を確認するところからご相談いただけます。
