【シェア80%】ケニアを知るならまずここから!M-PESA(エムペサ)とは?【ケニアで仕事してまんねん。vol.6】

さていつもご覧いただきありがとうございます。

わが社の事業にかかわるモロモロのお話を発信させていただいている当コラムですが

最近、ケニア関連やアフリカ関連でご訪問いただく方が少しずつですが

増えてきているようです。せっかく書いている記事なので皆さんに見ていただいているのは

有難い話ですね。

さて今回は、ケニアについて興味をお持ちの方に向けて、

とにかくコレは知っておいた方がいいんじゃね?と思う、最近のケニアを

語るには欠かせないものについて、ちょっとまとめてみようと思います。

 

ケニアを語りたいなら必須。M-PESA(エムペサ)

 

ケニアの全人口は5,000万人弱ですが、4,000万人が利用しているといわれている

モバイル送金サービスです。その普及率は80%!

2007年に生まれたサービスがあっという間にほぼ全国民が利用するようになったわけですから

これをしらないとケニアは語れません。

 

 

このほぼ全国民が利用するサービスM-PESAは、ケニアの通信会社Safaricomと、南アフリカ共和国のボーダコムにより運用されています。なんとこのシステム、ケニアの学生が開発したというのがすごいですよね。

利用方法としては、デボジットで入金するシステムとなっています。信用情報を必要とするクレジット決済のようなタイプのものではないのがポイントの一つのようです。

エムペサの口座番号は携帯電話の番号となっていてます。SMSを使ってやりとりをすることで、電子マネーを利用者の携帯電話に送金することができます。また、現金の預入や引き出しも行うことができます。

これは国内に展開する取扱店ネットワークを通じて行います。

・Send money(送金)

・Withdraw Cash(現金引き出し)

・Buy airtime(プリペイド通話料購入)

・Lipa na M-PESA(諸支払)*

・My account(口座番号)

といったシンプルなメニューによって、利用者はサービスを活用しています。

■総務省WEBサイトより引用

銀行不要?ローンまで組めるシステム

「M-PESA」で驚かされるのは、モバイルマネーというだけではなく、預金を行うこともできますし、与信がつけばローンを組むこともできることです。ただし、規制があり送金は1回約15万円、1日約30万円までです(2021年2月現在)。ここが、銀行との住み分けの部分です。

ただ、ケニアで1日30万円も送金する人は限定的です。ほとんどの人は、この範囲内でなんの不便もない。だから人々の間では事実上、送金も決済も預金もできて、ローンも組める欠かせないモバイルバンキングになっています。

ディスラクティブ・イノベーション(破壊的イノベーション)とも呼ばれていたりしますが、
もはや銀行が必要とされていない、ということです。勘定系のシステムもいらない。支店もいらない。ATMもいらない。通信キャリアのシステム一つで、リテールのバンキングサービスができてしまっているのです。
しかも、チャージした通話料がそのまま現金のように使えるわけですから、多くが現金を持たなくなった。おかげで現金の紛失や、カツアゲの心配もないのです。

万が一、ケータイを紛失しても、データはサーバーの中です。ケータイの中にあるわけではない。ここが、Suicaのような日本の電子マネーとの違いです。チャージした本体をなくしたとしても、「M-PESA」ではデータが消えることはないのです。

そしていつでも、現金に戻せる。実は日本では、ここができません。例えばSuicaやPayPayは、いったんチャージしたら基本現金に戻せない。資金決済法の規制があるからです。
しかし、ケニアではこの規制がなく、チャージしてあるお金は自分のものなんだから現金として引き出せていいはずだ、という、至極まっとうなやり方が社会に広がっています。チャージはできるけど、現金に戻せないから使い切ってください、という日本とどちらが便利なサービスかは一目瞭然です。
ケニアにも銀行はあります。ただ、農村を含む一般の人はあまり銀行にいきません。銀行口座を持っているのは、全体の3割弱。言ってみれば、お金持ちだけです。ですから仕事の報酬も、振り込みも、多くの人が「M-PESA」を使っています。

若者が田舎の母親に仕送りしたいときなど「M-PESA」が活躍します。母親は銀行口座がなくていい。日給をもらったら、毎日、半分を田舎に送っている、という若者もいます。
預金だと、元本保証で6%ほどの金利がつきます(2019年)が、「M-PESA」を使えば家賃も払えるし、学費の支払いもできるし、公共料金も払える。道端でバナナを売っているような露天でも使えます。
中国のアリペイのように、QRコードを読み取る必要もない。もとより日本のモバイルマネーもそうですが、中国のアリペイも銀行口座がないと開設できません。「M-PESA」は、銀行口座もいりません。ケータイさえあれば、全部できる。だから、爆発的に広がったのです。

送金、決済、預金、ローンを、フルバンキングサービスと呼びますが、ケニアではすでにこれが「M-PESA」で実現しているのです。日本より、よほど進んでいるといってもいいでしょう。アフリカの他のモバイルキャリアも同様のサービスを行っており、ほぼすべてのアフリカの国で同様のサービスがあります。

固定電話を引かずに、いきなり携帯電話が広がったことなどは、「蛙飛びイノベーション/リープフロッグイノベーション」と呼ばれたりしますが、それは通信の世界だけではありません。金融、医療、物流など、あらゆる分野で起きています。

アフリカには、レガシー(既存インフラ・既得権益者・岩盤規制)が少ないため、先進技術が、一足飛びに社会に広く浸透するのです。